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スローライフって本当にあるの? 都会と地方の生活(24時間)を比べてみた

小ネタ 2018/5/25
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こんにちは、ライターの友光だんごです。

皆さん、都会の満員電車に揺られて通勤しながら「地方でのんびりしたい……」なんてため息をもらした経験はないでしょうか。僕はあります。いつかは自然に囲まれた晴耕雨読なスローライフを! と思いながら、東京で目の前の仕事に追われる日々を過ごしています。

しかし「スローライフ」とは言うものの、果たして本当に地方の時間は「スロー」なのでしょうか?
風景 山 田舎
僕は地方へ取材に行くことも多いのですが、早朝から畑の手入れをしたり、都会にはない「ご近所付き合い」に時間を使っていたりと、意外と地方で暮らす皆さんも忙しそうなのです。

そこで、今回は「東京でバリバリ働く人」と「地方で自営業をしている人」の24時間を比較してみました!

■東京の広告代理店で働くUさんの1日

Uさん
話を聞いた人:Uさん
関西出身。大学まで関西で過ごした後、上京。東京の某大手広告代理店に就職し、現在4年目。入社以来、営業として勤務し、現在は4社のクライアントを担当している。独身・一人暮らし。
まず東京代表として取材したのは、某大手広告代理店勤務のUさん(27)。多忙なイメージのある広告代理店ですが、24時間のスケジュールはこちら!
タイムスケジュール

今日はよろしくお願いします! 最初に初歩的な質問で恐縮ですが、『広告代理店』ってどんな仕事をしてるのでしょうか?

確かに『何してるのかわからない』ってよく言われますね(笑)。一言でいうと『クライアントの広告を作る』仕事ですが、大きく4つの職種に分けられます

ふむふむ

まず、クライアントとの窓口である『営業』と、広告の出稿先であるテレビ局や出版社、WEB系の媒体社とやりとりをする『メディア担当』。それから実際に広告を制作する『クリエイティブ』と、クライアントからの意向を元にどんな広告にするかを考える『プランナー』ですね

なるほど。Uさんはどの職種ですか?

営業です。クライアントから広告の依頼を受けて、社内のスタッフィングや進行管理、撮影の立会いなど、仕事はさまざまです。ざっくり言うと、クライアントと社内の調整役というか

広告代理店って漠然と『クライアント命!』なイメージがありますけど、実際どうなんでしょう

そうですね……営業としては、常にクライアントと社内の『板挟み』な感じはあります。いくらいい広告を作っても、結局はクライアントに刺さるかどうかなので。クライアントの修正依頼を社内のクリエイティブにうまく伝えたり、あるいはその逆だったりのスキルは要求されます

では、無茶な要求ばかりのクライアントもいたり……?

幸いなことに、私は今までいいクライアントさんしか担当したことがないんです。ただ、クライアントの要求がきつくて潰れてしまう営業も確かにいますね。長時間労働に関しては世の中的に問題になったので、厳しくなっていますけどね

■「無」になれるのはトイレの中だけ

Uさん

では普段の仕事も、基本的にはクライアント対応ですか?

はい。基本的には出社した後は朝から晩までメール対応をしています。進行中の広告について、クライアントからの細かいお願いごとがメールで次々届くので

朝から晩まで!

営業は自分で何か作ってるわけではないので、基本的に『待つ仕事』なんですよ。待ってる間に他の仕事が来るから、会社にいるときは忙しくて。逆に撮影の立会いではクライアント対応以外にやることがないのでひたすら待つ、みたいな

なるほど、自分で時間をコントロールできないのは辛い

出社してから、気を抜いて『無』になれるのはトイレの中だけです。とにかくやることが山積みで、あっという間に1日が終っちゃいます

自分の席でちょっと息抜きにネットサーフィンしたり……

しませんよ!

お菓子食べるのも……?

あ、お菓子はOKです

よかった。ということは、帰りも遅いんですよね

定時は18時ですが、あってないようなもので……。ただ、最近は22時くらいには帰れてますよ! 年度末の3月は超忙しくて、会社を出るのが24時を超えるのもしょっちゅうでした。家は寝るために帰る場所って感じです

世の中的には残業減の流れとはいえ、まだまだ大変なんですね……

■「広告代理店的マインド」はなぜ生まれる?

Uさん

入社4年目ということですけど、新人の頃はもっと忙しかったですか?

そうですね、朝5時に帰ってシャワーを浴びて出社することもよくありましたよ。やっぱり、1年目は何も知らないのでとにかく覚えることがたくさんですし、昼間は先輩と一緒に打ち合わせや現場に同行します。なので、夜に自分の仕事や勉強をするしかなくて

噂に違わぬハードさ!

でも、特に当時は忙しいことより、自分が何もできないことのほうが辛かったんです。だから、必死で勉強しましたね

何もできない、とは?

代理店の営業って、自分で何か作れるわけじゃないんです。クライアントからのミッションに答えることが仕事の、ある意味『なんでも屋』。だから、そのための努力を惜しまなくなるんですね

例えばクリエイティブ職なら、世に出た自分の広告を見て達成感を得られますけど……

営業にとってはクライアントからの『ありがとう』が一番嬉しいし、やりがいが『クライアントの要求に応えること』になっちゃうんです

なるほど、そこで長時間労働や『クライアントの言うことは絶対!』みたいなマインドが生まれてしまうと。仕事でストレスも多そうですけど、どうやって発散されてます?

カフェ ランチ

私は『食』ですね! 美味しいものを食べて発散します。土日は休みなので、友達と気になるお店に行きますよ

あ、休めてるんですね! 本当によかったです。平日が忙しいぶん、土日は仕事のことを忘れてリフレッシュすると

そうですね。ただ、それも担当のクライアント次第ですけど。例えば土日のイベントが多いクライアントだと、イベント参加で休日は潰れます

世知辛いな〜〜〜〜〜〜

■それでも、東京に出てきてよかった

Uさん

ちょっと話題を変えて、東京で働いててよかったな、みたいな話があれば聞きたいです

私は関西出身なんですが、元々マスコミ業界へ憧れがあって、東京で就職したんです。だから仕事は楽しいですよ! 広告の撮影で芸能人の方とご一緒したり、規模の大きな仕事に関われるのは東京だからこそだと思ってます

地方出身だと、最初はホームシックになりませんでした?

1、2年目は地元の関西が恋しくなりました。人が違いますね、地元の関西のほうがアットホームな気がします

ああ…僕も地方出身ですが、東京は人が多すぎてお互いに無関心だなあ、と思うことはありますね。駅の人混みとか

でも、東京は刺激的ですね。仕事でも、プライベートでも。世の中の最先端を味わうなら東京じゃないですか。テレビや雑誌で話題のお店も圧倒的に東京のほうが多いですし、いろんな出会いもあります。東京へ行くなら20代で! と思ってたので、正解でした

東京を楽しまれてて安心しました。今日はありがとうございました!

忙しい毎日と引き換えに、仕事のやりがいや刺激を得ていた東京のUさん。では、地方の人はどうなのでしょうか?

■長野でコーヒー焙煎店を営む川下さんの1日

川下さん
話を聞いた人:川下康太さん
大阪府生まれ。大学卒業後は大阪と名古屋で営業職のサラリーマンとして働く。その後、コーヒーの焙煎を生業にすることを決め、長野に移住。「ヤマとカワ珈琲店」をオープンする。現在は喫茶部門はやめ、コーヒー豆販売のみに業態を変えて営業中。妻と子ども一人とともに暮らす。
地方代表として取材したのは、長野県長野市の善光寺の近くでコーヒー焙煎店を営む川下さん。サラリーマンを辞めて長野に移住し自営業を始めたということで、その転身が気になるところであります。まずは24時間のスケジュールを。
タイムスケジュール

まず、お店について伺ってもいいですか

4年前に長野に移住して、ここを始めました。最初は喫茶もしていたのですが、今は豆の販売のみに絞って営業しています。この建物は店舗と焙煎室を兼ねていて、築80年くらい。家賃は3万円ですね

川下さん店

安いですね!さすが地方といいますか

東京に比べて家賃などの固定費が安いのは、僕みたいにお店を始める人間にとってはありがたいですね

川下さんのスケジュールを見て気になったのですが、まさに太陽とともに生活されていますよね。朝は畑に行き、日没とともに閉店!

朝イチで土を触ると気持ちいいですよ。閉店時間は、お店を始めた時からずっと日没に合わせています。そういうのも面白いかな、くらいの考えだったんですが、季節も感じられますし、夜に家族と過ごす時間も生まれます

そんな風にご家族との時間を大事にするために、今の仕事を始めたんでしょうか?

いえ、長野へ移住したのはまだ独身の時ですね。サラリーマン時代に『自分を変えたい』と思ったのがきっかけだったんです

■自分を変えたくて、コーヒーの道に

川下さん 焙煎

自分を変えたい、というのは?

30歳を目前に、人生このままでいいのか、と思ったんですよね。会社にいると組織の論理が優先されますから、自分の力だけではどうにもならないことが多い。それを『仕方ない』と諦めてしまっている人もいる。そうじゃなくて、自分の責任で、自分で仕事を作ることに挑戦したくなったんです。それなら自営業だな、と

なるほど。コーヒーはお好きだったんですか?

最初は飲めなかったんですけど(笑)、26歳くらいで初めておいしいコーヒーを飲んで、それ以来どんどんコーヒーにのめりこんでいったんです。だから自分で仕事をするなら、焙煎だなと決めました。その後、ご縁があって長野でお店を始めて、1年くらいして結婚しました

途中でコーヒー豆の販売のみに業態を絞ったのは、どんな理由だったんでしょうか

妻と相談して、このペースだとしんどいね、という話になったんです

忙しすぎたとか…?

うーん、というより、働くことに暮らしが引っ張られすぎてしまうなと。喫茶はお客さんが来るタイミングがわかりませんから、お店を常に開けてなくてはいけないし、仕込みの時間もかかります。そうではなくて、もっと暮らしに働き方を合わせたい、と思ったんですね

■暮らしに働き方を合わせるということ

コーヒー

暮らしに働き方を合わせるというのは、具体的には?

例えば桜がきれいな季節は、焙煎を早めに切り上げて家族とお花見に行きます。またお店の休みが水・木曜で、いつもは水曜を配達の日にしているんです。でも、配達を木曜にさせてもらって、水曜は家族の予定にあてることもあります

なるほど、仕事をうまくやりくりして、時間の使い方をコントロールできるようになったと。会社勤めより、自営業のほうがその裁量が大きそうですね

はい。それと僕は『収入を得ることだけが仕事だろうか?』と考えていまして

んん、どういうことですか……?

例えば、畑で野菜を作れば、そのぶん食費が減らせますよね。畑をすること自体は一見仕事には見えませんが、そうやって『支出を減らす』ことも仕事といえるんじゃないかと思うんですよ

暮らしを小さくするというか……

コーヒー

ええ、自分でできることが増えれば、その分使うお金は少なくなりますよね。暮らしのために必要なお金が減れば、無理してたくさん働く必要はなくなります。その浮いた時間を家族と過ごしたり、新たなスキルを身につけたり、別のことに使えるんです

ああー! わかってきました。例えば都会は家賃をはじめ生活コストが高いので、その分頑張って働いて稼がないといけない。でも、生活コストを下げやすい地方なら『収入を得る仕事』も減らしやすい

そうです。そして、畑での野菜づくりや大工仕事の技術は『減らない貯金』だと思うんです。自分でできることが増えれば、その分お金を払って誰かにやってもらわなくてもよくなりますから

都会での暮らしは、確かにお金を払っていろんなサービスを受けることが多いかもしれませんね……

最近、中島正という無農薬農法で自給自足生活をしていた農学者が気になっているんです。彼は『人間は自分のことだけをやっていればいい。他人のことを考えなくていい。人のためにしてあげたのに、という気持ちがよくないんだ』と言っていて。『都市を滅ぼせ』という本なんですけど……

題名やばすぎませんか? まあ、都市の暮らしを続けていって大丈夫かな、という気持ちはわからなくもないですが

だから僕は長野で実践者になりたい、と思うんです。とはいっても、完全な自給自足を目指しているわけではないですよ。人生のテーマは『バランス』なので、自分と家族にとってちょうどいい塩梅を探りながらいけたらと

■仕事とプライベートの境があいまい

ナチュラルアンカーズ
▲コーヒー豆の配達に訪れた地元のアウトドアショップ「ナチュラルアンカーズ」で、ウェアを見ながらオーナーと話し込む川下さん

今日、コーヒー豆の配達に同行させていただいて、配達先でのやりとりがすごく印象的だったんです

なるほど

川下さんは配達の先々で、家族同士でスキーに行く話をしたり、アウトドアショップでウェアの試着をしたり、仕事とプライベートの境界があいまいな感じがして

ああ、そうかもしれませんね。登山が好きなので、配達ついでにウェアを見ちゃいます。配達の時に限らず、仕事と暮らしの距離が限りなく近いとは思います

その点がローカルであり、自営業であることの特徴なのかなと。先ほどの『どこまでが仕事か?』という話が、人付き合いにおいてもそうだなと思いました

そうですね。コミュニティは都会に比べて小さいので、その分付き合いも濃くなりますね。自営業は全部を自分でやらなきゃいけませんけど、それが楽しいですよ。サラリーマンのときは会社行くのが嫌でしたけど、今は店に行きたくないなんて思わないですから。ストレスなくやれています

責任と引き換えに得られる自由があるんですね……参考になりました!

■まとめ

都会と地方を比べてみると、確かに地方のほうが時間の流れは「スロー」かもしれません。ただ、そもそもの「忙しさ」の質が異なるように感じられました。

仕事とプライベートをきっちり分けるか、それとも曖昧にした働き方か。刺激を求めるか、家族との時間を大切にするか……どちらが正しいというわけではなく、人それぞれの「理想の暮らし」に合うほうを選べばよいのだと思います。

ただし、理想を実現するためには、何かを犠牲にしなければいけない。そんなことも二人の話からはみえてきました。

何を犠牲にし、何を第一に置くのか。この記事が、皆さんの理想の暮らしを考えるきっかけになれば幸いです。

それではまたどこかでー!


執筆:友光だんご
編集:Huuuu inc.
企画:プレスラボ
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