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【新入生・新社会人向け】大島てるが伝える「はじめての家選び」(後編)

知識 2018/11/9
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「新入生・新社会人向けに大島てるが伝える『はじめての家選び』」と題し『事故物件公示サイト 大島てる』を運営する大島てる氏に、「事故物件を避け、より納得のいく部屋・建物を選ぶためのアドバイス」をいただく今回のインタビュー。

前編は「内見しないことの危険性」「内見で分かること」そして「リフォーム以外のポイントで事故物件の可能性があるかを確認する方法」をうかがいました。

後編となる今回、「よく聞くけどわからない」という方も多いであろう「告知義務」の慣習などについて、さらに深くお聞きしていきます。

「事故物件」と「告知義務」の関係性

――そもそも不動産業者の、事故物件における「告知義務」はどの程度あるのでしょうか?

てる「まず、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)の条文のどこを読んでも、『殺人』だとか『自殺』といった単語は出てきません。

ただ、『判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの』について『故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為』が罰則付きで禁止されています。

そして、この『判断に重要な影響を及ぼすこととなるもの』の中に、例えば『数年前にその部屋でガス自殺があった』といった事実が含まれるというわけです」

【新入生・新社会人向け】大島てるが伝える「はじめての家選び」(後編)
――「1人、間に挟めば(住めば)言わなくてもいい」「いや、本質的には、もしそういった懸念される事項があるなら伝えるべきだ」など、いろいろ言われていますが、こちらについてはどうでしょうか?

『1人目の入居者には言わなければならないけれども、2人目に対しては言わなくていい』というのは、ある種都市伝説のようなものと考えてください。

仮に、1人目の入居者が『幽霊を見た!』と怖がって入居翌日に退去したとして、次の入居希望者に『この人は2人目だから、自殺のことは隠しておこう』としたのでは、後日バレて裁判になったら負けるでしょう。

ただし、多くの不動産業界関係者が『1人目に対してはきちんと真実を教えておかないとマズい』と考えているのは確かです」

積極的に何があったのかを不動産会社に聞くという手段

――そうすると大島さんのお考えとしては、入居者については「ここ、まさか事故物件じゃないですよね」とまずは気軽に聞いてみようとことでしょうか。

また、「不動産会社としては問われたことについて答えなくてはならない」と考えると、聞かれれば答えるが、最低限しか答えない、例えば該当の部屋については回答するが、建物全体については回答しないという場合などもあるのでしょうか。


「裁判所の判断は、文字通り、ケース・バイ・ケースです。極端なケースでは、約50年前の殺人事件について、『言いなさい』とされた事例があります。

逆に、あまり年数がたっていないのに、もろもろの事情に鑑みて、『言わなくてもいい』とされた事例もあります。私の知る限り唯一ハッキリ言い切れるのは、アパートやマンションといった集合住宅の場合、隣の部屋や上下の階は無関係ということだけです

――その当該の部屋だけに告知義務はあって、他の部屋にはないということでしょうか。

「そういうことです。例えば、『私がこのマンションの303号室に住み始めてだいぶたってから、斜め下の202号室で数年前にガス自殺があったことを近所の人から聞いた。どうして契約時にちゃんと教えてくれなかったんだ。引っ越し代を払ってくれ、さもなければ、家賃を下げてくれ』などと不動産屋にクレームを言って、不動産屋から『あなたの部屋じゃないし、関係ないでしょう?』と一蹴されたとします。それで裁判を起こしても…負けてしまう、ということです

――自分で疑問に思うことは、何でも聞いたほうがいいということですね。「部屋を決める」という意思決定に関わるものは言いなさいというルールは『宅建業法にも定められている』のでそれを根拠に質問をして『自分が気にしているということを業者に知らせる』という意味でも、とても重要ですね。
【新入生・新社会人向け】大島てるが伝える「はじめての家選び」(後編)

「ちなみに、先ほどの宅建業法の条文ですが、『故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為』『故意に』の部分に注意が必要です。わざと言わないことが禁じられているのです。当然ですが、うっかりミスはありえます。そもそも仲介業者が大家から本当のことを聞かされていないケースもたくさんあります

一つの建物で「事故物件」が増えるメカニズム

――なるほど。あらためて「事故物件」にあわないようにするには、『大島てる』のサイトも含め、情報を広く賢く集めましょうということですね。

しかし現実問題としては、住んだ後で『大島てる』を見て、『あ、ここ事故物件だったんだ』あるいは『住んでいるその最中に隣の部屋で重大事故が起こった』、と気づくケースもありそうですね。


「1部屋が事故物件だというマンションに、知らずに入居してしまった。その後、別の部屋でまた事件が起きたという例は実際あります。偶然だとか呪いだと考えたくもなりますが、それなりに合理的な解釈ができる場合も多いのです。

例えば、東京・上野警察署のすぐ近くにガラが悪いことで有名なマンションがありますが(『大島てる』で該当の物件を見ながら)、ここでは今後もさまざまな事件・事故が起きても全く不思議ではありません。

いったん事件・事故が起き、その情報が広まってしまうと、賃料を下げないと借り手がつきにくくなります。ところが、賃料を下げるといわゆる入居者の質も下がるのです。古くからの住民と軋轢が生じるだけでなく、ニューカマー同士がトラブルを起こすようになります。悪いお友達を連れてくるということもありますしね。こうなると、もう元には戻れないでしょう

――負のスパイラルが起こってしまうということですね。

「そのとおりです。最終的にはスラムです。ある事件をきっかけにその現場マンションの歴史を調べてみたら、過去の事件・事故の情報が山ほど出てきたということもありました。

集合住宅は一つの街のようなものですから、よその部屋は自分には無関係とは言えません。私なら、負のスパイラルに気づいた時点でその棟から逃げ出したくなります

事故物件にあってしまった場合の解決手段としての「引っ越し」

――たしかに、多少のお金のことはあるけれど、賃貸であれば最終的な手段として引っ越しという方法をとる余地があると、少し気が楽になりそうですね。

「事故がおきてしまった・事故があったことが発覚した物件」に住み続けても、おっしゃっていただいた「負のスパイラル」もあるので「長く住むという選択肢そのものがあまり得策ではない」という場合もあると。オーナーや不動産業者と時間と労力を使って交渉して、メンタルも疲弊することも十分に考えられそうです。

【新入生・新社会人向け】大島てるが伝える「はじめての家選び」(後編)
「そもそも、売買と比べて、賃貸は事故物件絡みのリスクが低いわけですし、万一事故物件化してしまった後のことが気になるようでしたら、生涯賃貸派も良い選択肢です。

 高い買い物なのですから、マイホーム購入の際に内見をしっかりするのは当たり前です。他方で、『どうせ短期間借りるだけだし』と軽い気持ちで内見を省略したくなるのも理解できることです」

「事故物件」に「住む」「住まない」という判断

――殺人や事故死、病死や老衰など事件・事故の軽重がある中で、事故物件でも許容できるものはあるとお考えですか。

「『孤独死なんて要するに病死だし大したことない』とはよく言われることですが、仕事柄、孤独死現場に慣れっこになっているわけでもないのにそのように言ってしまう人は、実態を知らない世間知らずな人なのでしょう。

確かに殺されたわけでもなければ自殺したわけでもないのですが、だからと言ってグロくないなんてことはありません。ニオイが耐えられないほどひどいといった状況になりがちなのはむしろ孤独死の場合なのです。入院先で亡くなるのと一緒にはできません。

他方で、殺人事件はセンセーショナルに報道されることが多いですね。でも、別に虫がわいていなかったり、それどころか、血が流れていない場合さえあるのです。心理的瑕疵物件となるばかりでなく物理的瑕疵物件にもなりがちというのが孤独死なのです

――死因にこだわる前に、自然死に近いような病死と言われるものであっても、部屋のダメージは相当ひどい状況になり得るということですね。

「それらを全て知った上で『気にしない』という人もいるでしょう。『気にする』『気にしない』は個々人の判断の問題であって、誰かが『気にすべきだ』『気にすべきでない』と口出しすることではありません。だからこそ、私の立場は『気にするか気にしないかはあなた次第』なのです

――『状況を総合的に判断して、それでも家賃が安いから事故物件に住む』という判断そのものは否定しない、ということでしょうか。

「もちろんです。経済的メリットが心理的デメリットを上回るのであれば、事故物件に住むという選択はアリです。ただ、知らないうちに高いままの家賃で事故物件に住まされていたというパターンにだけは要注意です

――ありがとうございました。

後編では「告知義務」から具体的な「事故物件にあわないために、不動産業者に確認する方法」についてうかがいました。

どうしても家を決めるまでの時間を確保しづらい新入生、新社会人のみなさんも、ここに書いた通り、「できるだけ、ネット上でも、リアルでもその物件の情報を集めて自分で判断する」ことで、後悔のしない部屋探しをしていただければと思います。
大島 てる(おおしま てる)
事故物件サイト管理人

平成17年9月に事故物件公示サイト「大島てる」を開設。 当初は東京23区のみを対象としていたが,その後徐々に対象エリアを拡大していき,現在では日本全国のみならず外国の事故物件をも対象としている。関連書籍に『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました』(彩図社)・『事故物件サイト・大島てるの絶対に借りてはいけない物件』(主婦の友インフォス情報社)。 ロフトプラスワンウェスト(大阪)での「事故物件ナイト」など,事故物件イベントが札幌・東京・名古屋・大阪で不定期開催中。事故物件サイトには英語版も存在。 その活動は米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』でも紹介された。

【番組情報】

大島てると松原タニシが事故物件を徹底的に語り尽くす『事故物件ラボ』がニコ生にて絶賛配信中
番組リンク: http://originalnews.nico/130427

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